建設業許可の相談を受けていると、特に多いのがこんな悩みです。
- 家族を役員にしているけど、これって大丈夫?
- 社長じゃないと経営業務管理責任者になれない?
- 経営はしてきたつもりだけど、どう説明すればいいかわからない
- 書類に何を書けばいいのか、イメージが湧かない
とくに、家族経営の会社や個人事業主から法人化した会社では、
「実態としてはずっと経営に関わってきた」
「でも、それを“書類でどう示せばいいかわからない」
というケースが本当に多く見られます。
この記事では、
- 家族を役員にしている会社でも建設業許可は取れるのか
- そもそも「経営業務管理責任者の経験」とは何なのか
- その経験をどう整理し、どう書類に落とすのか
- そして、過去の人間関係をなぜ大切にしてほしいのか
を、小さな建設会社・個人事業主向けにやさしく整理していきます。
家族を役員にしていても建設業許可は取れる?
家族を役員にしている会社でも、建設業許可は取れます。
建設業許可で見られるのは、「家族かどうか」ではありません。
- 名ばかり役員ではないか
- 実際に経営判断に関わってきたか
- 建設業の経営を理解し、動かしてきたか
つまり、「何をしてきたか」という実態です。
家族経営であること自体が、マイナスになることはありません。
そもそも「経営業務管理責任者の経験」とは何?
言葉が難しいだけで、本質はとてもシンプルです。
社長っぽい仕事を、一定期間ちゃんとしてきたか?
資格でも、学歴でもありません。
問われるのは、実際に何をしてきたかです。
経営業務管理責任者として求められる「仕事の中身」
条文的に説明すると難しくなりますが、実務では、次のような仕事をしてきたかがポイントになります。
① お金に関わる判断をしていたか
- 工事の見積・請求
- 支払いの判断
- 資金繰りの把握
- 原価管理(黒字・赤字の判断)
お金の流れを理解し、判断していた立場か
② 仕事を取る・決める立場だったか
- 元請との打合せ
- 工事を受けるかどうかの判断
- 工事金額・条件の調整
- 契約に関する意思決定
「受注の判断」に関与していたか
③ 人や業者を動かしていたか
- 職人や下請の手配
- 工程・工期の調整
- トラブル時の判断・対応
指示される側ではなく、決める側だったか
④ 経営全体を見ていたか
- 現場だけでなく会社全体の把握
- 複数現場の調整
- 利益・損失の管理
現場専属だけではない
何年の経験が必要?
基本的な考え方はシンプルです。
5年以上
多くの場合、
- 個人事業主
- 役員(代表・取締役など)
- 経営補佐的な立場
としての通算5年以上がポイントになります。
よくある勘違い
- 家族役員=名ばかり役員と思われがち
- 社長じゃないとダメだと思っている
- 現場経験だけあれば足りると思っている
すべて誤解ではありませんが、正しくもありません。
重要なのは、肩書きより「何をしてきたか」です。
経営管理責任者として認められる可能性がある経験パターン
(※実務でよく相談されるケースです)
- 個人事業主+法人役員経験
- 親族会社での実質経営
- 配偶者が代表、本人が経営補佐
- 専務・常務としての実務
- 現場代理人だが見積・原価・下請管理を担当
- 一人親方として元請対応・資金管理をしてきた
- 複数社での通算した経営関与 など
「ダメだと決めつける前に、整理すれば道が見える」これが実務の現実です。
書類は「証明」ではなく「説明の材料」
完璧な証明書類を1枚出す必要はありません。
- 登記事項証明書
- 確定申告書
- 工事契約書・請書
- 請求書・通帳
- 経歴書・職務内容説明書
これらを組み合わせて、「こういう経営をしてきました」と説明できる形を作ることが大切です。
【とても大切なこと】経営経験は「過去」であり、人との関係が支えになる
ここで、ぜひ知っておいてほしい大切な視点があります。
経営業務管理責任者の経験は、すべて「過去にやってきたこと」です。
つまり、
- 過去に一緒に仕事をした元請会社
- 勤めていた建設会社
- 役員として在籍していた会社
- 事業を一緒に動かしていた関係者
こうした過去の人とのつながりが、経験を説明する上で、非常に重要になることがあります。
たとえば、
- 在籍していたことの証明
- 役割や立場の確認
- 当時の業務内容の説明
など、人の協力が必要になる場面は少なくありません。
だからこそ、
これまで関わってきた人との関係は、絶対に大事にしてください。
「もう辞めた会社だから」
「昔の話だから」
と切り捨ててしまうと、
あとから困るのは自分自身です。
経営経験は「一人で証明するもの」ではなく、周囲との関係性の中で積み上がってきたものだからです。
家族経営だからこそ、丁寧な整理が必要
家族経営では、
- 誰が経営
- 誰が技術
- 誰が補佐
が自然に曖昧になりがちです。
だからこそ、言葉と書類で役割を分けて整理することが、とても重要になります。
まとめ
経営業務管理責任者の経験は、
• 肩書きの問題ではありません
• 家族経営だから不利なわけでもありません
大切なのは、自分で考え、決め、責任を持って建設業を回してきたか
そして、その経験を、どう整理し、どう説明し、誰とつないでいくかです。
「うちは無理かもしれない」と思ったときほど、一度立ち止まって、過去の仕事と人のつながりを整理してみてください。
そこから、道が見えるケースは本当に多いです。
「うちの場合はどうなるんだろう?」そう感じたら、無理に判断せず、一度これまでの経緯を整理してみてください。
整理の仕方が分からない場合は、一緒に確認することもできます。
