はじめに
一人親方として仕事をしていると、自分の社会保険だけでなく、家族の保険のことも心配になる人は多いと思います。
- 一人親方は社会保険に入れるの?
- 妻や子供の保険はどうなるの?
- 元請から社会保険の加入を確認される
- 今入っている保険は適正なのか不安
このような相談は、実際によくあります。
会社員の場合は、会社が健康保険や年金の手続きをしてくれますが、一人親方はすべて自分で考えて加入する必要があります。
この記事では、一人親方が加入する保険の種類と、家族の社会保険について、できるだけやさしく整理してみます。
家族を守る保険を後回しにしていませんか?
一人親方として仕事をしていると、毎日の支払いは本当に多くなります。
- 材料代や工具代など、仕事に必要な資材の購入
- ガソリン代や駐車場代、高速道路代などの交通費
- 現場での一服のジュース代やタバコ代
- 仕事が終われば、仲間と居酒屋での飲食代
- ストレス発散でパチンコや競馬に行く
このように、一人親方は日々さまざまな出費に追われています。
そのため、
- 健康保険
- 年金
- 労災保険
といった社会保険の支払いが、つい後回しになってしまう人も少なくありません。
中には、
「年金なんて、どうせ将来もらえない」
「今は仕事が忙しいから、後で考えればいい」
そう言って、保険料を払っていない人もいます。
私はこれまで、そんな一人親方をたくさん見てきました。
確かに、毎日の出費が多いこともよく分かります。
しかし、社会保険は単なる支払いではありません。
自分自身を守り、そして家族の生活を守るための大切な仕組みです。
一人親方として仕事を続けていく以上、社会保険を理解し、きちんと加入し、支払いをしていくことはとても重要。
それは、一人親方という「経営者」としての大切な役目でもあると私は考えています
一人親方が加入する社会保険の種類
会社員のように「社会保険」に自動的に加入するわけではありません。
一人親方の場合、基本的には次の保険に加入します。
① 健康保険(国民健康保険)
会社員は「協会けんぽ」などの健康保険に加入しますが、一人親方は加入することができません。
そのため、
• 市区町村の 国民健康保険(国保)
• 建設業向けの 建設国保
に加入することになります。
建設業の職人の場合は、建設国保(建設業国民健康保険組合など)に加入する人も多い。
- 傷病手当金などの補助が充実
- 所得に関わらず保険料が一定
- 建設業に特化
などの特徴があります
② 年金(国民年金)
一人親方は、国民年金(第1号被保険者)に加入します。
会社員のような厚生年金には加入できません。
そのため、将来の年金額は会社員より少なくなる傾向があり、将来のことを考える場合は、
- 付加年金
- iDeCo
- 小規模企業共済
などを利用する人も多くいます。
③ 労災保険(特別加入制度)
労災保険は本来、労働者のための保険です。
そのため、一人親方は労災保険にも加入できず、その上、現場でケガをしても元請けの労災保険を使うことができません。
しかし、一人親方の場合は労災保険の特別加入制度を利用することで、労災保険に加入することができ、これはとても重要です。
現場では
• 転落事故
• 工具によるケガ
• 車両事故
などのリスクがあり、元請けの現場では、一人親方の労災特別加入を求められています。
加入するには、
- 一人親方労災保険組合
- 一人親方建設業共済会等の特別労災加入団体
- 労働保険事務組合
などを通して手続きを行います。
(労働基準監督署には労災加入団体が申請)
④ 雇用保険(加入できない)
雇用保険は、雇われている労働者のための制度です。
一人親方は事業主なので、雇用保険には加入できません。
そのため、
• 失業保険
• 休業給付
などは受けられません。
一人親方に必要な「休業補償」
一人親方は、働けなくなると収入が止まります。
そのため、労災以外にも、休業時の備えを考えておくことが大切です。
例えば、
所得補償保険(民間保険)
ケガや病気で働けない期間、収入の一部を補償する保険。
労災保険は、仕事中の事故のみですが、所得補償保険は病気による休業もカバーできる場合があります。
小規模企業共済
個人事業主向けの退職金制度です。
• 廃業時
• 引退時
の資金として利用可能。
節税効果もあるため、多くの個人事業主が利用しています。
一人親方が加入する社会保険まとめ
| 保険 | 加入 |
| 健康保険 | 国民健康保険 建設国保 |
| 年金 | 国民年金 |
| 労災 | 労災特別加入 |
| 雇用保険 | 加入不可 |
一人親方の家族の社会保険はどうなる?
ここが、多くの人が気になるところです。
会社員の場合は、
• 妻
• 子供
は 扶養 になります。
しかし、一人親方の場合は、扶養制度がありません。
つまり、家族もそれぞれ
- 国民健康保険
- 国民年金
に加入する必要があります。
そのため、家族人数分の保険料がかかります。
一人親方の社会保険料の目安
例えば、年収500万円(所得380万円)
夫婦+子供1人の場合、社会保険料の目安は次のようになります。
保険の種類 年間保険料
| 保険の種類 | 概算金額 |
| 国民健康保険 | 約40〜50万円 |
| 国民年金 | 約42万円 |
| 労災保険 | 約3万円 |
| 合計 | 約100万円 |
収入が増えるほど、とくに 国民健康保険料の負担が大きくなる傾向があります。
将来は法人化という選択肢もある
将来的に事業が安定してきたら、法人化(株式会社など)という選択肢もあります。
法人になると、
- 協会けんぽ
- 厚生年金
などの 社会保険に加入することになります。
この場合、家族を扶養に入れることができ、
- 保険料の負担
- 傷病手当金
- 将来の年金
などの面でメリットが出る場合もあります。
まとめ
一人親方の社会保険は、
- 国民健康保険
- 国民年金
- 労災保険(特別加入)
が基本になります。
さらに、
- 所得補償保険
- 小規模企業共済
などを活用することで、ケガや病気、将来への備えをすることもできます。
一人親方は、会社員のように会社が守ってくれるわけではありません。
すべてを自分で考え、準備していく必要があります。
そして忘れてはいけないのは、自分一人の問題ではないということです。
一人親方の働き方は、自分の生活だけでなく、家族の生活にも大きく関わっています。
だからこそ、
「まだ大丈夫」
「今は忙しいから後で」
と先送りにするのではなく、社会保険や将来の備えについて一度しっかり整理してみてください。
それが、安心して長く仕事を続けていくための土台になります。

ながつき行政書士事務所
江郷 晴彦
えごう はるひこ
広島県江田島市の行政書士事務所。 建設業許可や一人親方の手続き、建設業の経営サポートを中心に対応しています。 建設業許可や一人親方の手続きに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

