はじめに
一人親方として仕事をしていると、避けて通れないのが「税金」です。
会社員の場合は、
- 会社が税金を計算してくれる
- 給料から自動的に差し引かれる
ため、自分で税金の計算をすることはほとんどありません。
しかし、一人親方になると事情が変わります。
- 売上の管理
- 経費の整理
- 確定申告
- 税金の支払い
これらを すべて自分で管理する必要があります。
税金というと難しいイメージがありますが、仕組みを知っておけば決して難しいものではありません。
この記事では、一人親方の税金について
- どんな税金があるのか
- 税金が決まるまでの流れ
- 確定申告の基本
をできるだけやさしく整理していきます。
一人親方が支払う主な税金
一人親方として仕事をしている場合、主に次のような税金が関係してきます。
所得税
1年間の所得に対してかかる税金です。
売上から経費を差し引いた 利益(所得) に対して課税されます。
この所得税を確定させるために行うのが確定申告です。
住民税
住民税は、前年の所得をもとに計算されます。
確定申告の内容をもとに、市区町村が税額を計算し、後から納付書が送られてきます。
消費税(売上が増えた場合)
売上が一定額を超えると、消費税の納税義務が発生します。
一般的には、売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生する可能性があります。
ただしインボイス制度は少し複雑なので、詳しい判断は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
個人事業税
業種によっては「個人事業税」がかかることもあります。
建設業の場合、一定の所得を超えると課税対象になります。
一人親方の税金が決まるまでの流れ
一人親方の税金は、次の流れで決まります。
① 仕事をして売上が発生する
まずは元請けなどから仕事を受け、売上が発生します。
② 経費を記録する
仕事をするためには、さまざまな費用がかかります。
例えば
- 材料費
- ガソリン代
- 工具や道具
- 作業服
- 車両費
などです。
これらを 経費として記録しておくこと が重要。
③ 1年間の所得を計算する
売上から経費を差し引いた金額が所得(利益)になります。
この所得をもとに税金が計算されます。
④ 確定申告をする
毎年2月〜3月に行うのが 確定申告 です。
1年間の
- 売上
- 経費
- 所得
をまとめて税務署へ申告します。
最近では、税務署へ行かなくても e-Tax(電子申告) を利用して確定申告を行うことができます。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフト、スマートフォンなどから、マイナンバーカードを使って 自宅で申告から納税まで手続きが可能 。
⑤ 税金が決まる
確定申告の内容をもとに
• 所得税
• 住民税
などの税額が決まります。
⑥ 税金を支払う
確定した税金は、決められた期限までに支払います。
納付書や銀行振込などで支払うことになります。
一人親方の税金はいつ支払う?(納付スケジュール)
一人親方として仕事をしている場合、税金は会社員のように毎月の給料から自動的に引かれるわけではありません。
そのため、自分で納付時期を把握しておくことがとても大切。
主な税金の支払い時期は次のようになります。
所得税
所得税は、確定申告を行った後に納付。
確定申告の期間は、通常毎年2月16日〜3月15日頃まで。
申告後、計算された所得税を3月15日までに納付する必要があります。
住民税
住民税は確定申告の内容をもとに、市区町村が税額を計算し、6月頃に納付書が送られてきます。
支払いは通常、
- 6月
- 8月
- 10月
- 翌年1月
の 年4回に分けて支払う方法 が一般的。
消費税(対象者のみ)
売上が一定額を超えた場合は、消費税の納税義務が発生します。
消費税の確定申告は翌年3月末までが期限。
対象となる場合は、所得税とは別に申告と納税が必要になります。
税金は「あとからまとめて来る」
一人親方の税金の特徴は、あとからまとめて請求が来るということです。
そのため、
- 税金の分を使ってしまう
- 支払い時期にお金が足りない
ということが起こりやすくなります。
そうならないためにも、売上の中から税金分をあらかじめ確保しておくという意識がとても大切。
一人親方にとって帳簿整理はとても重要
一人親方の仕事は忙しいため、
- 領収書がたまる
- 帳簿整理を後回しにする
という人も少なくありません。
しかし、確定申告のときに「何が経費なのか分からない」という状態になってしまうと、とても大変です。
そのため、
- 毎週
- または毎月
少しずつ帳簿を整理しておくことが大切。
この積み重ねが、確定申告の負担を大きく減らします。
経営者なら最低限の会計知識は身につけておきたい
帳簿整理と言われると、多くの方が
- 面倒
- 難しい
- 数字が苦手
- 簿記の仕訳がわからない
と、苦手意識を持ってしまいます。
そのため、
- 税理士さんにすべて任せている
- 妻に帳簿整理をお願いしている
という方も多いのではないでしょうか。
もちろん、税理士に依頼すること自体は悪いことではありません。
しかし、一人親方は 事業の経営者 です。
経営者である以上、最低限の会計知識は身につけておくことが大切だと私は考えています。
なぜなら、
- どの仕事が利益を出しているのか
- どこにお金がかかっているのか
- 今の仕事の単価は適正なのか
これらは 会計の数字を見ないと分からない からです。
会計を理解すると仕事の利益も見える
会計を理解すると、
- どの仕事が利益を出しているのか
- 単価が安い仕事は何か
- 無駄な出費はどこか
が見えるようになります。
請負工事の見積書を作るときにも、この知識は必ず役に立ちます。
利益を残すためには、技術だけではなく、数字を見る力も必要
だからこそ、経営者として最低限の会計知識を身につけておくことをおすすめします。
税金を減らす「所得控除」という仕組み
税金は、すべて同じ金額がかかるわけではありません。
いくつかの制度を利用することで、課税される所得を減らすことができます。
これを 所得控除 といいます。
例えば
- 国民年金
- 国民健康保険
- 小規模企業共済
- 生命保険
などは所得控除の対象。
これらをうまく活用することで、税金の負担を軽くすることも可能です。
まとめ
一人親方の税金は、
- 売上
- 経費
- 所得
この3つを整理することで決まります。
会社員のように会社が税金を管理してくれるわけではないため、一人親方の場合は、自分自身で帳簿を整理し、確定申告を行う必要があります。
税金の仕組みは少し難しく感じるかもしれませんが、
- 日々の売上の記録
- 領収書の整理
- 定期的な帳簿管理
を行っていれば、決して難しいものではありません。
まずは 毎日の仕事の記録を残すこと。
それが一人親方の税金管理の第一歩になります。
また、税金のことでわからないことや困ったことがあれば、担当の税務署に相談することもできます。
税務署では、基本的に親切に教えてもらえるので、一人で悩まず相談してみるのもよいでしょう。
そしてもう一つ大切なことがあります。
これからの時代は 法令遵守がとても重要な時代。
税金対策と安易に考えて、利益を隠したり誤魔化したりすることは絶対に避けなければなりません。
現在はネット社会のため、税務署側でも「誰が誰にいくら支払っているか」という情報はある程度把握できる時代になっています。
一人親方として長く仕事を続けていくためにも、正しい知識を持ち、きちんと税金を管理すること
これも経営者としてとても大切な仕事の一つです。

ながつき行政書士事務所
江郷 晴彦
えごう はるひこ
広島県江田島市の行政書士事務所。 建設業許可や一人親方の手続き、建設業の経営サポートを中心に対応しています。 建設業許可や一人親方の手続きに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

