「建設業許可は、法人じゃないと取れない?」
「個人事業主のままでは無理なのでは?」
そんな声をよく耳にします。
結論からお伝えすると、個人事業主でも建設業許可を取得することは可能です。
ただし、「誰でも簡単に取れる」というわけではなく、いくつかの条件をきちんと満たす必要があります。
この記事では、個人事業主として建設業を営んでいる方が、建設業許可を取得するために必要なポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。
こんな個人事業主を想定して解説します
話を分かりやすくするため、次のようなケースを例に考えてみましょう。
- 自宅兼事務所と倉庫がある
- 5年修行後に独立し、個人事業主として15年継続
- 息子1名が従業員(高校卒業後11年目)
- 事務や経理は妻が担当し、確定申告も毎年きちんと行っている
- 元請 → 一次下請 → 二次下請として仕事を受注
- 専門工事は「大工工事」
実際、こうした形で仕事を続けている方はとても多いのではないでしょうか。
なぜ今、建設業許可が必要と言われるのか
個人事業主の方が、「許可を取った方がいい」と言われる理由には、次のような背景があります。
- 元請や一次下請から「金額に関係なく、許可を取ってほしい」と求められる
- お客様がリフォームローンを利用する際、請負業者が建設業許可業者であることが条件になる
- 従業員を増やし、事業規模を大きくしたい
- 取引先や金融機関からの信用を高めたい
- 将来的に公共工事も視野に入れたい
- 「今すぐ必要ではないけれど、このままでは先に進めない気がする」
そんな段階で、建設業許可を意識し始める方が多いように感じます。
個人事業主でも法人でも、許可要件は同じ
ここで大切なポイントがあります。
建設業許可の要件は、個人事業主でも法人でも基本的に同じです。
「個人だから不利」ということはありません。
建設業許可を取得するためには、主に次の要件を満たす必要があります。
個人事業主が建設業許可を取るための主な要件
① 経営業務の管理責任者がいること
建設業の経営について、一定期間の経験を有する人が必要です。
長年、個人事業主として建設業を続けてきた方であれば、この要件を満たせるケースは少なくありません。
② 専任技術者がいること
適切な工事契約を結び、工事を適正に進めるための技術者です。
資格が必要な場合もあれば、実務経験で認められる場合もあります。
③ 誠実性があること
過去5年間に、建築士法や建設業法などの重大な違反がないことが求められます。
④ 財産的基礎があること
一般的には、500万円以上の資金を有していることが必要とされます。
⑤ 欠格要件に該当しないこと
成年被後見人である場合や、不正な許可取得により許可取消を受けてから5年以内など、法律で定められた欠格要件に該当しないことが条件です。
なお、申請書や添付書類に虚偽の記載がある場合も欠格要件に該当します。
不正な申請を行うと、その後5年間は許可を受けられなくなるため、正確な書類作成がとても重要です。
実際の判断は、業種や学歴・実務経験の内容、契約書類の揃い方などで変わります。
「自分は当てはまるのか不安」という段階でも大丈夫です。まずは状況を一緒に整理して、取れる形に整えていきましょう。
個人事業主で許可を取るメリット
個人事業主として建設業許可を取得する最大のメリットは、
法人を設立せずに、許可を取得できる点です。
法人化には、
- 登記手続き
- 定款作成
- 資本金の準備
- 社会保険の加入義務
など、費用や手続きの負担が発生します。
小規模で従業員数が少ない場合は、個人事業主のままの方が、経費や事務負担を抑えられるケースもあります。
よくある心配ごと(Q&A)
ここからは、個人事業主の方から特によくいただく質問をまとめました。
実際の状況によって判断が分かれることもありますので、参考としてお読みください。
建設業許可では、「事務所としての実体があるか」が確認されます。
具体的には、
- 打ち合わせや契約を行えるスペースがあること
- 契約書や帳簿などの書類を保管できること
- 事業の拠点として継続的に使用されていること
などがポイントになります。
生活スペースと完全に壁で区切る必要があり、また自宅の玄関と事務所の入り口は分かれていることが必要。
「仕事用として明確に区別されている」ことが重要です。
A)必ずしも社会保険に加入していないと取れない、というわけではありません。
個人事業主の場合、
- 事業主本人のみ
- 従業員が1〜4名程度
であれば、
国民健康保険・国民年金に加入していても、建設業許可の申請自体は可能です。
ただし、
- 労災保険
- 雇用保険
への加入は、原則として必要になります。
また、将来的に従業員が増えた場合には、社会保険への加入が必要になるケースもあるため、今後の事業計画とあわせて考えることが大切です
日給月給や「人工(にんく)精算」と呼ばれる支払い方法は、内容によっては「請負」ではなく「雇用」に近いと判断されることがあります。
その場合、
- 経営業務の管理を行っていない
- 建設業としての実態が弱い
と見られる可能性があります。
建設業許可を取得・維持していくためには、
- 見積書を作成する
- 請負契約を結ぶ
- 注文書・請書を交わす
- 報酬は銀行振込で受け取る
といった形で、請負としての取引実態を整えておくことが重要です。
「今までのやり方がすべてダメ」というわけではありませんが、許可取得を考えるのであれば、少しずつ整理していく必要があります。
これらは一例で、実際の判断は事業の形や将来の方向性によって変わります。
「自分の場合はどうだろ
焦らず、1〜2年計画で考える
個人事業主でも建設業許可は取得できます。
ただし、
- 将来的に事業を大きくしたい
- 従業員を増やしたい
- 安定した経営を目指したい
そう考えているのであれば、1〜2年計画で法人化と許可取得を見据える方が、結果的に近道になることもあります。
建設業許可は、必要な書類が整えば、申請から約1〜1.5か月で取得可能です。
だからこそ、
焦って「今すぐ許可だけ取る」のではなく、少し長い目で、これからの働き方や経営の形を整理してみてください。
最後に
建設業許可は、事業を縛るものではなく、仕事を安心して続けるための土台です。
個人事業主だからこそ、今後の方向性を考えるタイミングは大切です。
「自分の場合はどうだろう?」
そう感じたときは、一人で抱え込まず、まずは状況を整理するところからで大丈夫です。
よろしければ、
これからの計画を一緒に考えてみませんか。
今すぐ結論を出す必要はありません。

