建設業の事業承継とは?|なぜ今、後継者問題が深刻なのか

はじめに

建設業の後継者不在率は57.3%。

帝国データバンクの調査によると、建設業では半数以上の会社に後継者がいないという結果が出ています。

私は先日、広島県事業承継・引継ぎ支援センターの研修会に参加し、この数字を知って大きな衝撃を受けました。

しかし、私が本当に問題だと感じたのは数字そのものではありません。

もし建設会社が次々と廃業してしまったら、その会社が長年かけて築いてきた技術や経験、人とのつながりまで失われてしまうのです。

今回は、事業承継シリーズの第一回として、 『なぜ今、建設業の事業承継が重要なのか?』を一緒に考えてみたいと思います。

建設業の後継者不在率57.3%という衝撃

建設業の社長とお話しすると、こんな言葉をよく耳にします。

  • 「こんな苦労を息子にはさせたくない」
  • 「安定した会社員になってくれればそれでいい」
  • 「この会社は俺の代で終わりだよ」

長年苦労してきた社長だからこそ出てくる言葉です。

  • 景気の波に振り回され、
  • 資金繰りに悩み、
  • 人手不足に苦しみながら、
  • それでも会社を守ってきた。

だからこそ、自分の子どもにはもっと楽な道を歩んでほしいと思うのでしょう。

その気持ちはとてもよくわかります。

しかし、その結果として多くの会社が廃業してしまうと、私たちの社会に大きな影響が出てくるのです。

建設業で働く人が少なくなると私たちの暮らしはどうなるのか

建設業は単に建物を作る仕事ではありません。

私たちの生活そのものを支える仕事です。

例えば、

  • 家を建てる
  • 工場を建てる
  • 道路を整備する
  • 橋を維持する
  • 上下水道を整備する
  • 災害復旧を行う

これらすべてに建設業が関わっています。

もし地域の建設会社がなくなれば、

  • 災害が起きた時の復旧は遅れます。
  • 道路の補修も進みません。
  • 住宅の修理もすぐにはできなくなります。

人手不足が進めば、工事費も上昇していくでしょう。

建設業の後継者問題は、建設会社だけの問題ではなく、私たちの暮らし全体に関わる問題なのです。

建設業の技術は簡単には引き継げない

建設業の仕事は、工場で同じ製品を大量生産する仕事とは違います。

建物は一つとして同じものがありません。

  • 現場ごとに条件が違い、
  • 天候も違い、
  • お客様の要望も違います。

だからこそ、

  • 経験が必要です。
  • 段取りが必要です。
  • 人との調整力が必要です。

そして何より、

現場で積み重ねてきた知恵が必要です。

最近ではAIやロボット技術も発達しています。

しかし、建設業のすべてをロボットで代替できるわけではありません。

長年かけて培った技術や経験は、人から人へ引き継いでいくしかないのです。

なぜ若い人は建設業を目指さなくなったのか

若い人に建設業の話をすると、

  • きつそう
  • 危なそう
  • 休みが少なそう

というイメージを持たれることがあります。

確かに以前はそうした面もありました。

しかし現在は、

週休二日制の導入や働き方改革も進んでいます。

ICT施工やデジタル化も進んでいます。

それでも人材不足が続くのは、建設業の魅力が十分に伝わっていないからではないでしょうか。

建設業は、

  • 人の暮らしを支える仕事です。
  • 地図に残る仕事です。

完成した建物を見た時の達成感は、他の仕事ではなかなか味わえません。

私は、もっと多くの人に建設業の魅力を知ってほしいと思っています。

事業承継は会社を残すためだけではない

事業承継というと、会社の株式や経営権を引き継ぐことをイメージする方が多いかもしれません。

しかし私は、それだけではないと思っています。

事業承継とは、

  • 会社を残すこと。
  • 技術を残すこと。
  • 人材を育てること。
  • 地域を守ること。

そして、

社長が人生をかけて築いてきたものを未来へつなぐことです。

  • 顧客との信頼関係。
  • 現場で培った経験。
  • 経営者としての判断力。
  • 仲間とのつながり。
  • 家族を支えてきた努力。

それらは決してお金だけでは測れません。

私は、社長が築いてきたことは、稼いだお金そのものよりも価値があると思っています。

このシリーズでお伝えしたいこと

これからこのシリーズでは、

  • 息子や親族への承継
  • 従業員への承継
  • 後継者がいない場合の選択肢
  • 建設業許可の承継
  • 事業承継計画の作り方
  • 支援センターの活用方法

などについて、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。

まとめ

私は建設業界で長く働いてきました。

正直に言えば、楽しいことばかりではありませんでした。

辛いこともありました。

苦しいこともありました。

それでも今振り返ると、建設業は社会にとって欠かせない仕事だったと感じています。

だからこそ、

会社だけでなく、技術や経験、人とのつながりも次の世代へ引き継いでほしいのです。

社長がこれまで築いてきたものは、決して社長一人のものではありません。

  • 家族のため、
  • 社員のため、
  • お客様のため、
  • 地域のため

に積み上げてきた大切な財産です。

その財産を未来へつなぐことも、人生後半の大切な仕事の一つではないでしょうか。

このシリーズを通じて、建設業の未来について一緒に考えていきたいと思います。